Xが進める「人間らしさ」と「透明性」|AI生成ラベルと有料プロモ開示、自動化対策
2026年2月23日、Xの製品責任者が方針を示す投稿をしました。当時は「そういう話もあるのか」で済ませた人が多かったと思います。ただ、その後に起きたことを並べると、あれは予告だったと分かります。何が守られようとしているのかを整理します。
実装前の機能についての記述を含みます。
ラベル機能の細かい挙動、付け忘れた場合の扱いは、この記事の執筆時点では公表されていません。予想の部分はそう分かるように書いています。
発端:2月の宣言
まず、元になった投稿です。要旨はこうです。人々は人類の脈動を感じ取るためにXへやって来る。だからこのプラットフォームは、その脈動を誤って伝えたり歪めたりするものに、最大限の努力で抵抗しなければならない。
AI時代におけるプロダクト・ポリシーの方針についての投稿
— Nikita Bier (@nikitabier) February 23, 2026
続けて、人間の言葉を読んでいると思っていたのに、実は機械だった、あるいは開示されていない商業的・政府機関の指示のもとで運営されているアカウントだったと分かること。これほど不安をかき立てるものはない、と述べています。
問題視されているのは「隠されていること」
名指しされているのは3種類です。
- AIによる自動生成コンテンツ:人間が書いたと思って読んでいたものが、そうではなかった場合
- 開示されていない有料プロモーション:いわゆるステマ
- 開示されていない商業・政府系アカウント:誰の意図で発信されているか分からない状態
共通しているのは、内容の善し悪しではなく出どころが隠れていることです。素敵な考え方だと思ったらAIだった。嬉しいリプライだと思ったらAIだった。立派な意見だと思ったら有料の宣伝だった。こうしたがっかりを減らす、という話です。
進んでいる3つの対策
1. AI生成コンテンツのラベル
「AIで作成」ラベルが開発中であることが伝えられています。ユーザーが自分の投稿をAI生成コンテンツとしてラベル付けできるようになる、という内容です。他のSNSでは既に導入されている機能で、Xでも展開されることになります。
Xが「AIで作成」ラベルを開発中であることを伝える投稿
— 2026年2月
気になるのは、付けなかった場合にどうなるかです。ここは公表されていません。ただ、GrokによるAI判定は技術的に難しくないはずなので、悪質なフェイク動画などについては自動でラベルが付く、あるいはラベルなしなら削除されるといった措置はあり得ると予想しています。これは私の見立てで、根拠のある話ではありません。
2. 有料プロモーションの開示
こちらは既に運用が始まっています。有料プロモーションであることを開示していない投稿に対して、開示する返信を追加しなければサスペンドするという警告が出された例があります。
有料プロモーションの開示を求め、対応しなければサスペンドすると警告した投稿
— 2026年2月
ラベル機能が実装される前から、開示していないこと自体が問題として扱われている点に注意してください。
3. 自動化・botの検出
3つ目が、運用への影響がいちばん大きいかもしれません。自動化とスパムの検出機能が展開されており、人間が画面をタップしていない場合、そのアカウントと関連するすべてのアカウントが一時停止される可能性があるとされています。実験のつもりでも対象になる、と明記されています。
自動化とスパムの検出を展開しているという投稿。関連アカウントも一時停止の対象になり得るとしている
— 2026年
「関連するすべてのアカウント」という部分が重いところです。サブアカウントを持っている人は、片方の自動化がもう片方に波及し得るということになります。この自動化対策はその後さらに範囲が示され、公式API以外のプログラム操作は検索であってもフラグの対象になることが明言されました。詳しくはXで「botのような動作」が確認対象になる理由にまとめています。
2月の宣言は、その後どうなったか
この記事の元になった投稿は2月のものです。当時は方針の表明でした。その後、7月に何が起きたかを並べると流れが見えます。
- 7月17日:Grokによる検知強化とスリーストライク制度が案内される
- 7月18日:年初まで遡ってエンゲージメント誘導の投稿が数え上げられた例が公開される
- 7月19日:収益停止と凍結が相次ぐ。大手アカウントも対象に
「あらゆるツールと戦略を活用する」と言っていたものが、実際に動き出したのが7月だった、という見方ができます。詳しくはエンゲージメントファーミングは90日3回で収益停止にまとめています。
ここから読み取れるのは、Xの発表は宣言から実行まで時間が空くことがあるということです。方針が出た時点で準備しておけば、実行フェーズで慌てずに済みます。
なお、規約の条文そのものも2026年1月15日に改定され、AIへの入力と生成物がユーザーの責任であることが明記されました。あわせてXの利用規約改定を分かりやすく解説もご覧ください。
誤解しないでほしいこと
AIを使うことが悪いわけではありません。有料プロモーションが悪いわけでもありません。それらを明記していないことへの対策です。
AIを道具として活用するのは全く問題ありませんし、アフィリエイトも企業案件も、ポリシーに沿っていれば問題ありません。線が引かれているのは、読む人が「これは何なのか」を判断できる状態かどうかです。
今のうちにできる準備
- AIを使っている投稿を把握しておく。ラベルが実装された時に、どれに付けるかを後から探さなくて済みます。
- 有料の案件は先に開示しておく。ラベル機能を待つ必要はありません。本文か返信で明記すれば足ります。
- 自動投稿を使っているなら見直す。公式API以外の自動化は、関連アカウントまで巻き込むリスクがあります。
- ラベルの挙動が分かるまで様子を見る。任意なのか自動なのか、付け忘れにペナルティがあるのかは未確定です。
まとめ
Xが向かっているのは「人間らしさ」と「透明性」です。AI時代に、読む人が何を読んでいるのか分かる状態を保つ、という方針だと理解しています。
方針が出てから実行されるまでには間があります。2月の宣言が7月に形になったように、今出ている話も後から効いてきます。今のうちに、隠していることがない状態にしておくのがいちばん確実な準備です。
ふくふく文鳥